【長編】FOUR SEASONS
「右京…そっちはダメよ。いらっしゃい」

そう言って小さな天使を追いかけ微笑む優華は、本当に女神のようだ。

目の前をヨロヨロと歩く小さな存在を見つめ、その愛らしさに思わず微笑む。

真っ白な雪の上についた小さかった俺達の足跡は、時を経て今、三つめの足跡と共に歩いている。

愛らしい微笑を振りまきながら、優華の手をすり抜けると、小さな手を差し伸べて俺の腕の中に飛び込んでくる天使を、ふわりと高く抱き上げる。

嬉しそうに歓声をあげ、手足をパタパタさせて喜ぶ最愛の息子。

こんなに子どもを愛しいと思えるなんて、考えてもみなかった。

ひとり息子の右京は、1才になり可愛い盛りだ。

そしてもう一つ、優華のお腹には来年生まれる新しい命が宿っている。


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