【長編】FOUR SEASONS
麻里亜があたしの傍にそっと寄り添い手を握ってくれた。少し勇気がでる。

深呼吸をひとつすると、背筋を伸ばす。そして真っ直ぐに先輩たちを見据えた。

「あたし、沖崎先輩に呼ばれているんです。今から行って、昨日私に言いそびれた用件を聞いてきます。それから、二度と先輩方の心配されるようなことがないよう沖崎先輩と話すことも接触することもしません。それでいいでしょうか?」

そうよ
今日の昼間の教室でも質問攻めに会ったし、コッチだってうんざりしてるんだから。

なんであたしが沖崎先輩に振り回されなくちゃいけないのよ。

そんなことを思っていたら、いきなり左の頬が熱くなった。

予想もしていない衝撃に体が揺らいで立っていられない。

自分が地面に座り込んでいることに気づいて、初めて左の頬を殴られたことに気づいた。

「なっ!なにをするんですか?」

麻里亜が大声で叫んであたしに駆け寄るのを制するように、取り巻きの一人が麻里亜に手を上げるのが視界の端に映った。

周囲に野次馬が集まってきたが、遠巻きに見ているだけで誰も助けようとはしない。


痛みよりも怒り。

恐怖よりも麻里亜のことが心配だった。

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