【長編】FOUR SEASONS
「孝宏…もうその話はいいよ。人は過ちを犯しながら成長するんだから。

人は自分の間違いを認めた時、本当に成長して乗り越えた事になるのよ。

孝宏は立派に成長したし、ちゃんと乗り越えた。佐知子先輩だって…。」

俺を見つめる優華の瞳に、あの日の光景が蘇る。

血だらけの自分の手を見て泣き叫んだ佐知子。

彼女の心の傷は、俺の負った傷以上に大きかったのかもしれない。

「佐知子は幸せにしているのかな。」

「うん、警察には訴えなかったし、学校も退学だけは避けてもらったでしょう?
今は北海道の大学に行ってるみたいよ。
…彼女にも大きな心の傷ができてしまったわね。
でも、きっと乗り越えてくれるって信じてる。」

「優華…。」

何度も繰り返し思い出す過去の愚かな自分。

自責の念に駆られ、救いを求めるように優華を引き寄せた。


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