【長編】FOUR SEASONS
何もかも運命に引き寄せられていたのかもしれない。

優華と出会った幼い日。雪の日に貰ったチョコレートに込められた優華の幼い恋心。

そのささやかな想いが、荒れていた俺の心を何年も癒し続けていた。

それから10数年を経て俺達は再会した。

何度も傷つきすれ違い、求める手が触れる事は無いのかも知れないと、諦めそうになりながらも、心はやはり優華を求め続け…そしてようやく手に入れた。

優華と結ばれるまでの様々な出来事は、今でも昨日のように思い出すことが出来る。

ほんの小さな事でも優華となら笑い合えた事。

笑うことを忘れ、自分の殻に閉じこもっていた俺を、闇の中から引き出してくれた優華の笑顔。

この笑顔を護る為に、全てを投げ打っても構わないと思う事ができた時、俺は初めて感情を持った人間として生れ変わったと思う。



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