【長編】FOUR SEASONS
それから起こったことは正直よく覚えていない。

突然強く後方に引っ張られる感覚があった。

あまりの痛みに声さえもでない

後に強く引かれたせいで喉が反り返り、息もできない。


刹那


耳元で嫌な音がした。

何かが風に煽られてふわりと宙に舞った。

夢だと思いたかった。

長かったはずの髪が、パサリと風に乗って地面に落ちていくのをスローモーションのように見ていることしか出来なかったのだから。


くやしかった


初めて人を憎いと思った。

瞳の力で人を殺せるとしたらこのときだったろう。

それほどにあたしはこのとき殺意を抱いていたと思う。

憎しみのこもった目で先輩たちを凝視した。


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