【長編】FOUR SEASONS
あたしの瞳に先輩たちは、一瞬こわばった顔で固まっていた。

佐知子先輩がその静寂を破るように叫んだのを切っ掛けに、あたしはふたたび押さえつけられた。


先輩の口元に揺らぐ赤い火があたしに近付いてくる。

胸元に押付けられたタバコの火が肌を焼く臭いが鼻についたことは覚えているけれど、その他はあまり覚えていない。

あまりの痛みと熱さに、声を出さずに耐えるには意識を手放すしかなかったと言うのが正直な所だったから・・・。

薄れ行く意識の中

最後まであたしは声を発しなかったことを自分で誇りに思う。


でも、本当はとても怖かった。

本当は泣き出したいくらい怖かった。

助けてと、やめてと、本当は叫びたかった。



悔しい・・・・



なぜ?なぜこんな風に傷つけられなくてはいけないの


・・・・・心の中ではずっと、あたしは泣いていた。


この理不尽な仕打ちに、心は慟哭し続けていた。



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