【長編】FOUR SEASONS

何で変な噂ばかりが先行するんだよ。


ふつふつと怒りが湧き上がってくる。

確かに俺はモテルと思う。しょっちゅう告白ってヤツをされるくらいだし、中には確かに付き合ったやつもいる。

だけど違うんだ。こんな気持ちになったのは初めてなんだ。

たぶん、彼女は…そう、やっと本当に好きだと思える娘を見つけたんだ。


一瞬、幼い少女の面影が脳裏を掠める…


―――　たかちゃん、だぁいすき　―――


記憶の中で微笑む少女、懐かしい思いに胸が甘く疼いた。



きっと俺を好きにさせる。そして…


高森　優華　いつか絶対に手に入れる―――――


桜の花びらが舞い踊り、視界を奪われた一瞬、彼女の姿を見失う。

視界が開けた時、彼女はもうそこにはいなかった。

桜の花びらだけが、彼女の残り香のように風に踊っていた。




+++　桜の少女　Fin　+++