【長編】FOUR SEASONS
Spring 桜色の雨
春の雨が桜の花を散らす朝、優華は久しぶりに学校へやってきた。


長かった髪が耳を出すほどのショートになっている。

『結構似合うでしょう?』と麻里亜に笑ってみせる様子に胸が痛んだ。

殴られ腫れていた頬も、唇を噛んだ傷も今は癒えている。
だが、見えない胸元の火傷は多分一生痕が残るのだろう。
何事も無かったように振舞ってみせる優華。

その芯の強さに俺は救われている。

俺はまだ、嫌われてはいないのだろうか?

あの日から1週間、優華はずっと学校を休んでいた。
俺は優華の友人の麻里亜に携帯番号とメルアドを教えてもらい、何度も優華に連絡を入れた。

優華は『気にしないで』と言うばかりで、俺を責めたりはしない。
むしろ、気遣ってくれているようだった。

毎日会いたくて仕方が無かった。

傷の具合はどうなんだろう?

精神的にもきっと大きなショックを受けていると思う。

こんな時こそ傍にいてやりたいのに、俺たちはいつもすれ違ってしまうようだ。


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