【長編】FOUR SEASONS
自己嫌悪に陥る俺を、先生は紫の瞳を細くして何か考えるように見つめている。


黙り込んだ俺に、何を言う訳でもなく、ただ静かに見つめられることに、戸惑いを感じていると、突然、長い沈黙を破るように口を開いた。
この少し変わった担任には驚かされる事が多い。
だが・・・

この時は、今までに無いほど驚かされた。


「沖崎君、キミは彼女の事を、命を懸けても護りたいと思う?」


命を懸けて…
その重い言葉に驚きながらも、俺は自分の中の優華への気持ちを見つめ直した。

「今回の事はキミの機転でこの程度で済んだかもしれない。
でもキミが有名人である以上、色んな可能性があることは事実だ。
今は校内だけの事件で済んでいるが、いずれ外へも情報が漏れるだろう。こういうことは早いからね。
これからも彼女には危険な事もあるかもしれないよ。あれだけ派手に告白してしまったのだからね。
キミは総てを投げ出しても、命を懸けても彼女を護りきれるのかな?
本当に彼女を好きなら、そのくらいの覚悟でいないとね?でないと、彼女は何度でも同じ目に遭うだろう。わかるね?」


担任の言葉の一つ一つが胸に痛かった。


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