【長編】FOUR SEASONS
心に封印した想いが溢れ出す。

このまま抱きしめて、その唇にキスをしたい。

俺は無意識に優華の腕を取って引き寄せようとした。

――刹那

「私、先輩のこの写真好きです」

優華の声にハッと我に返る。


――俺は何をしようとしていた?


『先輩と一緒なんてむしろ危険を抱え込むようなものです。』

俺が優華を毎日迎えに行くと言った時の、麻里亜の言葉を思い出した。

・・・・・・俺のしようとした事がバレたらきっと、麻里亜に殺されるな。

あの時は『そりゃ無いだろ?』って答えたけど、麻里亜の観察眼は正しかったかもな。
あの日の麻里亜との会話を思い出すと、今でも苦笑するしかない。

『むしろ危険って、そりゃないだろ?』

『そんなことあります。絶対に二人きりに何てしませんよ。他の誰かに襲われることも心配だけど、先輩に襲われるかもしれないじゃないですか?』

『・・・・・っ!んなことするわけねえだろ?』

『わかりませんよ。先輩優華が好きなんでしょう?』


…あの時思わず本音が出て『ああ、そうだよ』って言ってしまいそうになった。


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