【長編】FOUR SEASONS
苦々しい思いで優華の持つ雑誌を手に取ると、気を紛らわすように優華の気に入ったらしい写真に目をやる。

「どれ?」

「ん?これです。ほら、優しい顔で微笑んでるでしょう?あたし、この写真大好きです」

優華の大好きと言う言葉に心臓が敏感に反応する。
動揺を悟られたくなくて、わざとそっけなく『そうか?』と答えた。

「そうですよ。あたし、最近まで全然知らなかったんです、先輩のこと。
でも、こうして写真を見ていると、とても惹きつけられるんです。
何だろう。上手く言えないけれど、目が凄く綺麗で…『俺を見ろよ』って言っているみたい」

…それは優華おまえに対して言っていたんだよ。

…ずっと探していた初恋の少女に。

好きだよ優華。

おまえにこの想いを伝えたい。

でも、俺にはまだ、自信が無いんだ。

それでも…
どうしても…
ほんの少しで良いから何かを伝えたい。

おまえは気付いてくれるだろうか?


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