【長編】FOUR SEASONS
優華が一瞬悲しげに俺から視線を外した。

一瞬、でも確かに俺の事を意識した?

もしかしたら、優華も俺の事気になり始めている?
そう考えるのは俺の自惚れなのか?

一気に気持ちが高ぶってくる。

後三日で夏休みが始まる。
そうしたら毎日こうして歩く事も出来なくなる。
今でさえ、土日や仕事のある日は会えなくて気が気じゃないのに、一ヶ月以上も会えなくなるなんて、俺、きっと耐えられないだろうな。

やっぱ、休みの間に会う約束をどうしてもしておきたいよなぁ。

もし、優華が俺を意識してくれているなら、尚更誘わない手は無い。


誘ってみるか…?


「なあ、優華。来週の夏祭り、一緒に行かないか?」

「お祭り?うん……いいですけど、あたしなんかと一緒でいいんですか?」

「優華と行きたいんだよ。俺は」

「ん、先輩がそう言うなら……いいですよ。来週の火曜日でしたっけ?」

「ああ、家まで迎えに行くよ。いいだろう?
さすがの麻里亜も夏休みまでついては来ないだろうからな。」

からかうように言うと優華が『どうかなあ?』と笑った。

「マジであいつにはついて来て欲しくねえよな。俺の事信用してないんじゃないか?」

麻里亜の怒る顔が浮かんで苦笑する。

そんなに心配しなくてもいいのにな。

まあ、確かにさっきはちょっとヤバかったのは事実だけど…
俺が自信を持てるまで、何もできるわけ無いんだから。

大体、手を出すどことか、告白すらできないっつーの。

でも、優華とこうして時間を過ごす事は止めたくは無い。

我が侭なのかもしれないけど、優華をいつでも俺の目の届く所に置いておきたいんだ。

隣で笑う優華。

その笑顔をずっと俺の中に閉じ込めておきたくなる。

いつかきっとその笑顔を手に入れる。

俺が自分に自信を持てたとき・・・

その時は麻里亜が何と言おうと、遠慮なんてしないからな・・・。




++ 笑顔 Fin ++


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