【長編】FOUR SEASONS
『あたしも行く。二人だけになんて、心配でしておけないもの!』

え~っ? 本気なの? 孝宏先輩の嫌な予感って当たるのかも…。

『……って言いたい所なんだけどね。あたしも約束があるのよ。その日は…』

えぇ? 麻里亜があたしより優先する予定?
そんなの今まで考えられなかった。
もしかして誰か好きな人が出来たの?

「誰か好きな人でも出来たの? だったらちゃんと教えてよ」

『えっ?え…あぁっと…、いや、そのっ。別に隠すつもりは・・・あ、でも隠してるよね。アハハ・・・』

え? 何?? 本当に好きな人が出来たの? 何も聞いて無いわよあたし。

「なによ?白状しなさいよ。水臭いじゃない」

あたしは少し強い口調で言うと『ひどいよ。教えてくれなかったなんて』と拗ねてみせる。

『ごめん。今はまだ言えないんだ、優華にもね。相手の人に迷惑がかかるから…。でも心配しないでちゃんと時期がきたら話すから。
変な相手じゃないし、むしろちゃんとした社会人だからね。変な想像しないでよ?』

あたしの心を読んだように、言いたい事を封じてくれる。

まったく麻里亜のカンの良さったら相変わらずなんだから。


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