【長編】FOUR SEASONS
「――もしもし。孝宏先輩?」

携帯をとると聞こえてくる優しい声

『優華?時間予定通りでいい?今から家を出るけど・・・。』

先輩の声に胸がドキドキする。

ほんの数日会っていないだけなのに、こんなにも会いたいと心が思っている自分の気持ちを認めないわけに行かない。

一度認めてしまった恋心は、一気に加速して走り出してしまったようで、自分でもブレーキをかけるのに必死だ。
どこまでも好きになってしまいそうで、時々怖くなる。

先輩には好きな人がいるんだから…。
そして、それはあたしじゃないんだから…。

呪文のように自分に言い聞かせる。

それでも、孝宏先輩と二人で出かけるという事実に、顔がいつの間にかニヤニヤと緩んでしまうのを止められない。

困った…

こんな顔、先輩に見せられないよ。


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