【長編】FOUR SEASONS
電車の中は夏祭りに行く乗客が多いらしく、車内のあちらこちらに浴衣を着た女の子やカップルが目立った。

その中でも優華はダントツ人目を惹いた。

後方のヤローばっかりのグループが、優華を見てカワイイのどうのと、指差してコソコソ話しているのが聞こえる。

う~~!見るんじゃねぇよ、てめえら。減るだろ?
ってか、指差すなよ穢れるっ!

奴らの視界から遠ざける為、優華を壁際に押付けるように寄せ、両手を壁に付くと護るように腕の中に閉じ込めた。

あんなのに優華を見せられっか。

俺を見上げる優華との距離の余りの近さに思わずドキッとする。


俺、今日心臓もつのか?


「先輩? どうかしたの?」

「ん? いや、痴漢対策。少し混んできたからな。ふらつく様なら俺に繋がっていてもいいぞ」

「はい」

と、少し頬を染めた優華は、壁に付いた俺の腕に華奢な指でキュと繋がってきた。

はあぁぁぁぁ。すげ~幸せかも。



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