【長編】FOUR SEASONS
夏祭り会場はすごい人出だった。

最初は恥ずかしがっていた優華も、これでは手を繋がないと逸れてしまうと理解したらしく、俺が差し出した手をキュッと握って半歩遅れてついてくる。

繋いだ手が互いの心臓の音を伝えてくるようだった。

周囲にこれだけ人がいて、耳を寄せないと会話も聞こえないくらいなのに、何故かお互いの心臓の音が同じリズムで早鐘を打っているのが分かる。

いつもより早いリズムで打つ俺の鼓動に、優華の鼓動が重なる。
緊張したりときめいたりしてるのが俺だけじゃないと分かって嬉しくなった。
優華に微笑んでみせると、照れたように笑って小さな声で何か呟いた。

「何? 聞こえなかった。何て言ったの?」

「教えません。内緒です」

聞き返そうとして、優華の視線にあわせて少し屈んでみると、自分で思った以上の距離の近さだった。

優華は真っ赤になって視線を逸らしたけど、俺だって今日何度目かの心臓発作を起こしそうになった。

……可愛すぎだって、優華。


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