【長編】FOUR SEASONS
「ちがうって、面識が無いのに急に声をかけられたから何の用事だったのかなって思って…あぁぁっ!」

そうだ、あたし、先輩の用件も聞かずに逃げてきたみたいな格好になって…。あれは絶対に失礼だったよね。

どうしよう…。

いくらびっくりして動揺していたからってあれはマズイ。

しかも、先輩の事、『プレイボーイなんですよね』とか何とか失礼なことも言ってたかも…。

沖崎先輩怒っているかもしれない。

不安な顔をして黙り込んだあたしに麻里亜は『大丈夫よ』と励ましてくれた。

「心配なら明日、一緒に謝りに言ってあげるから」

「…うん、そうだね。とりあえず謝りに行ってみる。それから先輩の用件が何だったのか聞いてみればいいんだよね」

麻里亜の言葉に勇気をもらったあたしは、少し心が軽くなった。

「それにしても…沖崎先輩ってクールで自分から女の子に声をかけたりしないって聞いていたけど、何の用事だったんだろうね?」

考えてみればそうだ。
学年も違う。面識も無い。
それなのにまるであたしを知っていたかのように声をかけてきた先輩。

「明日、聞いてみれば解るよね。用も無くあたしなんかに声をかけるハズないもん。


チクン…


自分で言ったのに…どうして胸が痛いのかしら?



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