【長編】FOUR SEASONS

「ふっざげんな! 優華に触るんじゃねぇぞ! テメェ命は無いと思えよ!」


周囲の迷惑も省(かえり)みる暇も無く、人混みを掻き分け優華の手を掴んだ男の傍まで来ると、手首を掴み捻り上げた。

相手がひるんだ瞬間、有無を言わさず顔面すれすれに拳を突きつけ寸止めする。

「先に言っとくけど、俺は今最高に機嫌が悪い。手加減なんかするつもりはねぇからな。絶対後悔するぜ? まだやるんなら場所を移すぞ。」

冷たい声音で吐き捨てるように言い、勢いをつけて捻りあげた手を離すと、相手の男は後ろにふっ飛んで仲間に支えられた。

「ハン! 仲間に感謝するんだな。支えが無かったら数メートルはブッ飛んでたぜ」

怒りを帯びた冷たい視線で相手を見下すように睨み付け、低い声で言い放った。

混雑の中での乱闘は避けたかったが、優華の手を握ったあいつをどうしても許せなかった。


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