【長編】FOUR SEASONS
俺は外見が細身だから、一見弱く見えるらしい。
体育会系にも見えないから、誰も俺が空手の有段者だなんて知らない。
俺はモデルになる前から、ある意味かなり有名だった。
母親が再婚して名字が変わった為、沖崎孝宏では分からないかも知れないが、秋元孝宏と言ったら、ちょっと腕の立つ奴なら誰でも知っている名前だからだ。
「あっ、おまえっ…もしかして秋元…?」
奴らのうちの一人が、ようやく俺に気付いたらしく、そこにいた全員の顔から一斉に血の気が引いていく。
逃げ腰なのは明らかだった。
この感じじゃ続きはなさそうだな。
久しぶりだし暴れても良かったんだが、まあ、今日は優華がいるからやっぱ、まずいか。
フンと鼻を鳴らして振り返ると、優華が少し離れた所で、体を硬くして俺を見つめていた。
花火会場へ向かう人の流れに逆らうようにぶつかりながら、優華の元へ歩み寄る。
人混みを掻き分けて手を差し出すと、優華がふわっと倒れこむように腕の中に収まった。
そのまま引き寄せて無事を確かめる。
「大丈夫か? 怪我は無い?」
優華が頷くのを確認すると、人混みから護るように抱きしめた。
体育会系にも見えないから、誰も俺が空手の有段者だなんて知らない。
俺はモデルになる前から、ある意味かなり有名だった。
母親が再婚して名字が変わった為、沖崎孝宏では分からないかも知れないが、秋元孝宏と言ったら、ちょっと腕の立つ奴なら誰でも知っている名前だからだ。
「あっ、おまえっ…もしかして秋元…?」
奴らのうちの一人が、ようやく俺に気付いたらしく、そこにいた全員の顔から一斉に血の気が引いていく。
逃げ腰なのは明らかだった。
この感じじゃ続きはなさそうだな。
久しぶりだし暴れても良かったんだが、まあ、今日は優華がいるからやっぱ、まずいか。
フンと鼻を鳴らして振り返ると、優華が少し離れた所で、体を硬くして俺を見つめていた。
花火会場へ向かう人の流れに逆らうようにぶつかりながら、優華の元へ歩み寄る。
人混みを掻き分けて手を差し出すと、優華がふわっと倒れこむように腕の中に収まった。
そのまま引き寄せて無事を確かめる。
「大丈夫か? 怪我は無い?」
優華が頷くのを確認すると、人混みから護るように抱きしめた。