【長編】FOUR SEASONS
「孝宏先輩。怖かった…ありが…と」

震える声でそれだけ言うと、優華は俺の背中に手を回し、きゅっと抱きしめてきた。

さっきまでの俺だったら、心臓が爆発するくらいに緊張しただろう。


だけど、今は違った。


優華が腕の中にいることがとても安心できた。


護りたい……。

優華を護れるただ一人の男になりたい。



「優華、おまえは俺が護るから…。絶対に俺から離れるな? 何があっても俺が護ってやるから」

「先輩…」

優華の涙に濡れた瞳に映る自分を見たとき、凄く優しい表情(かお)をしている事に気付いた。

「俺って…優華の前ではこんな優しい表情をしているんだな」

「先輩は優しいですよ。いつだって…」



そう言って微笑んだ優華の瞳が細められた時…

俺たちはどちらからともなく、引き寄せられるように唇を重ねていた。




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