【長編】FOUR SEASONS

「そうね、あの先輩が自分から女の子に声をかけるなんてありえないもの。
知ってる？　沖崎先輩って女の子に凄く冷たいって有名なのよ」

「そ、そうなんだ？　結構優しい人みたいだったけど？」

耳元にまだ先輩の声が残っている


…急に声をかけたりしてびっくりしただろ…


確かに少し冷めた雰囲気だったけれど、でも凄く澄んだ真っ直ぐな瞳をしていた。

あの微笑みは、麻里亜が言うような凄く冷たい人には見えなかったけどなぁ？
…って、なんで気にしてるのよ？関係ないじゃない。

あぁ、今日は本当にどうかしている。
噂の先輩に声をかけられて動揺して、逃げて、後悔して、悩んで、少し胸が痛くて…。


一体どうしちゃったんだろう？

とにかく早くスッキリしたい。

明日、先輩にちゃんと謝ろう。

そして、何の用件であたしに声をかけたのか聞くんだ。

それで、先輩とも接点がなくなるし…。


そう、接点がなくなるのよね？