【長編】FOUR SEASONS
優華といると楽しくてつい時間を忘れてしまう。

俺は彼女を自宅まで送るため、来る時に通ってきた道を肩を抱きしめたまま歩いていた。

優華と寄り添う時間がひと時でも長くあって欲しいと願いながら歩く道のりは、来たときよりずっと短く感じた。

こうしている時間がとても穏やかで幸せだと思う。

だが彼女の家が近づくにつれ、どうしてもこの手を離したくない気持ちが大きくなっていった。

抱き寄せる肩を無意識に自分の方へ引き寄せている事にハッとして力を緩める。

足元が暗いからと言い訳をする俺を優華は素直に信じたようだった。


これじゃ送りオオカミじゃねぇか…。


ふと、麻里亜のことが頭の片隅をかすめた。

こんなところを見られたら、それこそ鉄拳が飛んできそうだな。

そういえば、今日は絶対に様子を見に来そうなものだと思っていたんだけど。
あいつ来なかったなぁ。




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