【長編】FOUR SEASONS

「こんな所麻里亜に見られたら、俺ボコボコにされるかもしれないな？　麻里亜が来なくてよかったよ。絶対に様子を見に来ると思っていたんだけどな」

優華の耳元に唇を寄せてそう言うと、意外な言葉が返ってきた。

「クスッ…。大丈夫、麻里亜ったら彼が出来たみたいで、最近冷たいんです」

「え？　あいつに彼氏？　どんな奴なんだ？」

「ん～。なんか年上らしいんだけど詳しい事は教えてくれないんです。
事情があって二人が付き合っている事は、今はまだ内緒にしておかなくちゃいけないらしくて…。時期がきたらそのうち教えるよって、いつもはぐらかされちゃう」

意外だった。あの麻里亜が優華にも彼氏の事を話さないって？

麻里亜の事だから普段ならどんな事も真っ先に優華に話しているはずだ。

それなのに…。

なんだか腑に落ちないものを感じてしまうのは俺だけか？