【長編】FOUR SEASONS
「ふうん、何だか気になる話だよな。
あの、麻里亜が優華のことそっちのけで、その上理由をはっきり言わないなんて、なんか信じらんねえな」

「そうでしょう? …もしかして不倫とかだったらどうしよう。年上で社会人だって言ってるし、心配になっちゃう」

「え゛、不倫? あいつに限ってそれは無いだろう? …って…思う…けど?」

一瞬ギョッとした後、そう言った俺は、全部の台詞を言い終わらないうちに信じられないものを目にした。

通りの向こう側、角を曲がった車に、たった今噂をしていた麻里亜が乗っていたからだ。

「おい、あれ麻里亜だろ?」

優華も振り返り車へ視線をやると、一瞬息を呑み無言で頷いた。

車を運転していた人物を見て、二人とも信じられないという顔をして目を合わせた。

「優華……運転していた奴、見た?」

俺の声は擦れていたように思う。

「……見間違いじゃないですよね?」

優華の声も震えるように細く擦れていた。


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