【長編】FOUR SEASONS
Autumn 麻里亜の恋人
「おはよう、優華」
そう言って少し伸びた優華の髪に触る。
新学期が始まり1ヶ月余りが過ぎた。
いつもと同じ時間。
同じ駅の待ち合わせ場所で優華を見つけると、小走りに駆け寄り真っ先にそう挨拶して優華の髪を触るのが習慣になってしまった。
季節はすっかり秋に色付いて、風に乗って優華の寄りかかっているキンモクセイの木から柔らかい香りがほのかに香ってくる。
「あたし、キンモクセイが大好きなんです」
そう言って嬉しそうにキンモクセイの木を仰ぎ見て笑う優華を見守る幸せな時間が、今日もこの手の中にあることを嬉しく思う。
夏祭りのあの日から、優華とは以前よりずっと距離が近付いている。
やはり共通の秘密を持ってしまった事が、俺たちの気持ちを近付けているだろう。
そのせいだろうか。
会うとどちらからともなく必ず聞くようになったことがある。
…例のふたりの事だ。
そう言って少し伸びた優華の髪に触る。
新学期が始まり1ヶ月余りが過ぎた。
いつもと同じ時間。
同じ駅の待ち合わせ場所で優華を見つけると、小走りに駆け寄り真っ先にそう挨拶して優華の髪を触るのが習慣になってしまった。
季節はすっかり秋に色付いて、風に乗って優華の寄りかかっているキンモクセイの木から柔らかい香りがほのかに香ってくる。
「あたし、キンモクセイが大好きなんです」
そう言って嬉しそうにキンモクセイの木を仰ぎ見て笑う優華を見守る幸せな時間が、今日もこの手の中にあることを嬉しく思う。
夏祭りのあの日から、優華とは以前よりずっと距離が近付いている。
やはり共通の秘密を持ってしまった事が、俺たちの気持ちを近付けているだろう。
そのせいだろうか。
会うとどちらからともなく必ず聞くようになったことがある。
…例のふたりの事だ。