【長編】FOUR SEASONS
夏の間に俺は優華に恥ずかしくない男になれただろうか?

夏祭りで、ケンカを自制した事も、ほんの少しずつ人を思いやれるようになってきた事も、良く笑うようになった事も…今までの俺では考えられない事だ。

触れるものにはナイフで切りつけるようなオーラを放ち、神経を研ぎ澄ませていたあの頃がウソのようだ。

あの頃の俺を知っている奴らは俺の今の状態を信じないだろうし、想像も付かないと思う。

考えてみると笑いがこみ上げて来る。

こんなにも穏やかに笑える自分がいることが不思議で、幸せだと思える。

「先輩、楽しそう。ふふっ…何を考えているんですか?」

優華が俺を覗き込むように聞いてくる。そんな仕草が可愛くて…
『好きだよ』と言葉に出したくなってしまう。


そろそろ限界かも。


優華にこの想いを伝えよう。

今の俺ならたぶん優華は受け入れてくれるだろう。

俺が幼なじみの『たかちゃん』だって分かっても、今なら胸を張れるかもしれない。


< 99 / 323 >

この作品をシェア

pagetop