十字架は胸の中に・・・
その声の晴れやかなこと。
私は目を見開いた。
さっきのさっきまで、辺りを包む暗がり以外に、熱と光とが死に絶えてしまったと感じていた私だから、その稀有なことがわかる。
死の隣に、この世の熱量をもたない君がいたこと。
暗がりにいた私が、密やかに呼吸する君に気づかなかったこと。
でも。
「他者のために用意された答えならばいらない。あなたの言質(げんち)は油断ならない」
それでもほほえむのか。
悪魔よ。
……私が真実のみを否定できないと知って。
私は目を見開いた。
さっきのさっきまで、辺りを包む暗がり以外に、熱と光とが死に絶えてしまったと感じていた私だから、その稀有なことがわかる。
死の隣に、この世の熱量をもたない君がいたこと。
暗がりにいた私が、密やかに呼吸する君に気づかなかったこと。
でも。
「他者のために用意された答えならばいらない。あなたの言質(げんち)は油断ならない」
それでもほほえむのか。
悪魔よ。
……私が真実のみを否定できないと知って。