駆け引き×スクープ3~Red Devil 赤い悪魔~
『…ごめんな……』
あの時の、彼の顔は切なそうに笑っていた。
その声が、
本当に私を思ってくれているとわかり、
何も言えなかった。
栗塚さんが、小さく呟いたあの言葉
耳元にまだ、残っている。
離れない。
低く、掠れたような、
彼の、私を心配してくれる気持ちが詰まった、優しい声
首筋にかかったあの吐息を思い出し、
私の身体に小さく熱を持たせた。
大事なの。
彼を思うこの気持ちが
護られるだけでは、嫌なのだと、
その思いだけが、私を苦しくさせる。