駆け引き×スクープ3~Red Devil 赤い悪魔~
†side:月詠†
栗塚さんが全てを話し終え、コーヒーの入ったカップをテーブルに置いた。
私は、
多分少し震えていたんだと思う。
膝の上でぎゅっと握る手にふと、ぬくもりを感じた。
俯いていた顔を上げれば、綺麗な灰色の瞳で、心配そうに私を見ている栗塚さんがいた。
「…怖い……?」
私の手を、栗塚さんが優しく握り締めてくれる。
首を横に振る私
「‥嘘、吐くな……」
向こう側に座っていた栗塚さんの身体が少し浮いて、私をその胸に引き寄せた。
必然的に、私の腰も少し上がる。
テーブルを挟んで、私を優しく包む人
ふわりと、ほろ苦い煙草の香りが私の鼻を掠めた。
とくん、とくん……
彼と私の、心音だけが聞こえる。
私とは違う、男の人の腕、
その腕に、酷く安心する自分がいた。