駆け引き×スクープ3~Red Devil 赤い悪魔~
んなことだったのか!
†side:月詠†
ーキィー‥
錆びついたドアの音に閉じていた瞼を薄く開ける。
ドアから現れたのは覆面をつけた人
手には何故か道具箱を持っている。
ーガシャン、カチャガシャ
道具箱をひっくり返した覆面の人物は何を使うか楽しそうに選ぶ
ペンチ、ハサミ、スパナ、クギ、トンカチ、ヒモ、ノコギリ………
逃げようにも思うように動かない身体
何重にもガムテープで止められた腕は解くことはできない
覆面の人物はハサミを選び、こちらに近寄ってきた。
相変わらず、ビデオカメラは回っている。
「………ッ!」
髪を引っ張られ、ハサミの刃が頬に触れる。
冷たい金属の鋭利な刃が頬に食い込む。
「………ッ!?」
プツ、と肉が僅かに切れたのか、ハサミの刃に、赤い液体が垂れる。
「痛い?」
合成音声の気味の悪い声が工場に響く。
フッ、と私は嘲笑い、こう言った。
「全然」
覆面の人物を睨む。
たとえ殺されても、アンタなんかに屈したりなんかしない。
好きにすればいい。
私の答えに不満を覚えたのか、覆面の人物は私の髪を離した。
刹那、
腹部に鈍い痛みが広がった。
「……カ、ハッ……!!」
激しく咳き込む。
腹部を蹴られたのだ。