駆け引き×スクープ3~Red Devil 赤い悪魔~
「…栗塚、さ、……」
今まで、どんなに痛めつけられても出なかった涙が、
この人の姿を瞳に映して初めて、
「栗塚、さん……!!」
温かい雫が、頬を伝った。
「すまない、遅くなった……」
息を切らし、こっちに向かってくる栗塚さん
「ヴゥ゛……」
さっきの銃声は、
栗塚さんが彼女がハサミを持っていた手を、撃った音だった。
彼女は手を押さえている。
「栗塚さ……あの女性(ヒト)は……」
私の手首に巻かれたガムテープを剥がす栗塚さんに話す。
「わかってる。ゴメン……」
そう言って栗塚さんは、私の頭にポン、と手を置いた
解放された腕、
少しだけ痺れが残る。
すると、栗塚さんの後ろでうずくまっていた彼女がハサミを持ち直し、起き上がった。
そして、私達の方へと、襲いかかってきた。
「栗塚さ、後ろ……!!」
栗塚さんが振り向く。
駄目…!!
間に合わない…!!