秘密の涙.
でもー……。

今回は、そのときの涙とは訳が違った。


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いきなりがしっと私に腕を掴まれた
その人は無表情そのもので、
私に目線を合わせると、
「…何ですか?」
と無機質な声を出した。

だけどその声は私の耳には届かなかった。




…その人が静かに、涙を流していたから。

私はびっくりして反射的に腕をはなした。


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なぜこんな状況なのかというと…。
私、高岡友梨は、ただいま
田舎のおばあちゃん家に、
冬休みを利用して来ているわけで…
でも寒いしすることないしで、
近所の寂れたレンタルビデオ屋の手伝いを
することになったのである。

店主、というか店長のおじさんは
店の奥で寝てばっかりだから、
私がかわりにカウンターにいるんだけど。
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