秘密の涙.



「……なんで?」


初対面の私がそんなこと聞いてどうするの
とか、馴れ馴れしいとか、そんなことを
考える前に、その言葉が自然に口を
ついてでた。


…その傷は、なぜか私を
不安にさせた。



「えっ?」


「なんで…泣いてるんですか?」



そこで一旦言葉を切り、
もう一度あざに視線を移す。


「これ…どうしたんですか」



この人がこの田舎町にあまりにも
似合わないルックスだったのも、
聞いてしまったひとつの原因だろう。

そしてその涙とあざに、何かがありそうな
予感がして。






……すると、意外な返事がまっていた。



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