秘密の涙.
「……君がはじめてだ」
「えっ……?」
呟くようにいったその人は、
綺麗で長い指を唇にあてて
妖艶な笑みで、
「秘密…にしてくれる?」
と私に問い掛けた。
普通に考えて…そんな発言は少しおかしいし
関わらないほうがいいような危険な香りの
する人なのに……。
なぜかそのときの私は、
こくり、と首を縦にふってしまったのである。
…その先に残酷で悲しい運命が待ちうけている
とも、気づかずに。