秘密の涙.








「……君がはじめてだ」



「えっ……?」






呟くようにいったその人は、
綺麗で長い指を唇にあてて
妖艶な笑みで、

「秘密…にしてくれる?」

と私に問い掛けた。



普通に考えて…そんな発言は少しおかしいし
関わらないほうがいいような危険な香りの
する人なのに……。



なぜかそのときの私は、
こくり、と首を縦にふってしまったのである。




…その先に残酷で悲しい運命が待ちうけている
とも、気づかずに。




< 8 / 10 >

この作品をシェア

pagetop