秘密の涙.

「これはー…愛、の印」


そういって、痛々しいあざを
ゆっくりとなぞった。

「僕、が存在してるっていう証拠」


どういう意味?
この人は何をいっているの…?



………暖房のきいていない
この寒く狭い空間で、私の
体だけが熱くなっていくのを感じた。


ー…聞いてはいけないことを、
聞いてしまった気がする。
頭の奥で危険信号が鳴りやまない。

その言葉を聞いただけで、
背筋が、ぞくりとした。








「ねえ、愛の幕引きってなんだと思う?」
< 9 / 10 >

この作品をシェア

pagetop