シュガースパイスな君
「琥珀?あぁ、月代さん?なら、なんか走ってどこかへ行かれましたよ。泣いていましたが…。」

え…?
「泣いて? 走って?」
あいつ、この辺のことまだ何も知らねぇのに……。あいつが街にでも出たら、変な男に捕まるに決まってる。
「悪りぃ。今日、早退!!」

「え…あ、はい。お気をつけて。」

急いで下駄箱へ駆ける。本当はそんな余裕はねぇけど上履きを下駄箱にしまう。

あいつ、GPSのトレース振り切るために、ケータイの電源切りやがったな。

それから、なんとなく駅に走る。なぜか確信に似たものがそこにはあったから。

―――――……

ガタンゴトン…

「はぁっ、はぁっ…ケホッあのすみません。」
駅員さんに聞く。
「はい…?」
「あの、この女の子、見ませんでしたか?」
ケータイの画面を見せる。
昨日、何かあった時の為に写メを撮らせてもらった。案の定、必要となったが。
「えぇと、この方とはどのような関係で…?」

「え…あ……夫婦です。」

「…そうですか。お若いですね。」

「あぁ、で、見たのか?」

「えぇ、日暮方面へ」

日暮…琥珀が住んでたところだ…。あいつ…日暮に行ったのか?


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