シュガースパイスな君

大地の過去

【大地Side】

――大地…大地…

誰?菖蒲…?
違う…琥珀だ……。

「……大地…起きて…大地…」
「…ん…。」
「大地…大丈夫…?今日は休む?」
「…琥珀…こっち…来て…?」
「…うん…?」

琥珀…おれは言わなきゃいけないことがあるんだ。

「…おれ…」

「おれ…中2のとき、大切な女を失くしたんだ…。」

「…うん。」
相槌をうちながらおれの手を握る琥珀。

「菖蒲って言って…容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備だったんだ…。おれは…すげぇ頑張って中1んとき告白したんだ…答えはOKだった。」

――――…
その日は菖蒲の誕生日だった。おれは歩道橋の反対側にいた。そして、珠蕗財閥を潰そうとした奴がおれを狙って拳銃を発砲した。

――――パァンッ……

「…菖蒲っ――」

菖蒲は…おれの前に出てきて、おれの代わりに菖蒲が撃たれた。

「…大地…。怪我して…ない……?」
「…菖蒲…どうして…。」
「……いいの…大地が…いなくなったら…珠蕗財閥…崩壊…してしまう…。」
「…そんなこと…菖蒲の命の方が…大切…なのに…どうして……。」

……おれは一生分くらい泣いた。
そのあと、菖蒲は病院に運ばれた。でも、すぐに死んだ。

< 36 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop