シュガースパイスな君

愛の最果て 琥珀の悲しみ

【琥珀Side】

あれから1週間が経った。

それでも
大地は目を覚まさない。
けど
手に触れれば
いつもと
何一つとして変わらぬ
優しい温もりがある。
ただ、
無いのは言葉。
意地悪でも、
その中に
微かな、ほんの少しの
優しさがあった。
結婚する前は
無くても平気
だったものが、
得てしまえば
必然として
その場にあれば
無くてはならない
ものと化す。

一度孤独から
解放されると、
再び孤独になったとき、
負の感情以外
に何も残らない。

今……あたしはそんな状態。
今……あたしを支えているのは


大地が……
大地の命が……
この世に在るという現実と
目を覚ます瞬間が必ず在る
という

その2つの現実だった。

だから、大地が目を覚ましたって聞いたときには、泣いて喜んだ。けど…現実って………………つらい……。


「……お前……誰だ……?」


目を覚ました大地に最初に言われた言葉はそんな言葉だった。

「な…何言ってるんだ。大地…?お前……琥珀のこと忘れたのか?」
大地とあたしの共通の幼なじみ(隆雅はあたしと大地を知ってたけど、


< 57 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop