シュガースパイスな君
「ふぅん。お前…名前は…?」
「月代…琥珀…。」
――ツキシロコハク――?
「琥珀…?」
「…っ……っく……」
え…?なんでこいつ―琥珀―はなんで泣いてんだ。
「琥珀…?」
「……ごめん…ね…。大丈夫…だから…。」

病室を出ていこうと、椅子を離れる琥珀。

おれは…思わず、琥珀の腕を掴んだ。

「ぇ…………?」
「ここにいろ。」

そして、琥珀を抱き締めた。

「……っ…。」
「そんなに、固くなんなよ。」

優しく耳元で囁く。
最初は、力が籠もっていた体から、力が抜け、今ではおれの胸にすっぽりと埋まり、体の全てをおれに預けている。

「泣きたければ勝手に泣け。」
「…っく…ヒクッ…っ…っう……ぅうっ……。」


□■□■□■□■□■□■□■□
そして、琥珀の体から、僅かな力さえも抜ける。

「琥珀…?」

何度か呼び掛けたけど聞こえてきたのは規則的な寝息。

「なんなんだよ。」
こいつといると、おれのペースが乱れる。
「琥珀…この気持ちは……なんなんだよ。教えろよ…。」
「お前が来ない間どれだけお前の顔がちらついた事か。四六時中、頭ん中に居座りやがって。」

……?

「…はぁ…はぁ……!…ヤ…嫌っ!」

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