シュガースパイスな君

愛の最果て 甦る記憶

【琥珀Side】


今日も大地の荒い呼吸に起きる。

「…大丈夫。…大丈夫。…大丈夫」
大地の手をしっかりと握りながら、そう、繰り返す。
大地が落ち着いた頃、あたしも一寝入りする。

それはいつものこと。
でも、今日は少し違った。



―――――……

いつも通り、大地の手を握りながら‘大丈夫’を繰り返す。

――――けど…

「はぁっ、はぁっ、うぅっ」

いつまで経っても落ち着かない大地。

「大地…。大地…。」

大地の目尻から頬へ伝う涙をすくいながら、大地の後頭部に腕を回す。
すると、大地はあたしの腕を強く痛いほどに握り締めた。

「……っ痛……大地…。」
「うぅっ…ぐっ…」
「大丈夫…。大丈夫だから…。あたしはここにいるよ…。どこにも行かないよ…。」
「ぐ…ぁ…うっ」

ゆっくり、優しく、大地の髪を撫でる。
そのうち、あたしは大地の頭を抱えたまま、眠っていた―――


【大地Side】

「…んっ…」

また、夢を見た。
いつもよりもずっとつらくて
琥珀はそこにいて手を握り合っていて、なのに、消えてしまいそうに、その姿は弱々しく微笑んで、淡い琥珀色の光を宿していた……
だから…
この手を放したら、
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