シュガースパイスな君
「琥珀が居れば割と平気。」
「あたし…?」
「あと、多分この頃のおれの不調は記憶に関係してるらしい。」
「記憶…。…戻るの!?」
「……。かもしれないってだけだよ。…なぁ…琥珀。」
「ん?なに…?」
「やっぱり、記憶…あるおれの方がいいのか?記憶がなくたって最初は拒絶したけど、今おれは心から琥珀を愛してる。」
「……っ…。」
「それじゃあ駄目なのか?それでは足りないか…?」
「…っ……!あ、あたしは――」
「もう一度言う。おれは心から琥珀を愛してる。それでは足りないか…?」

とても泣きそうな顔…
慌てて、首を振る。横に

「大地。聞いて?あたしが記憶に拘る(コダワル)のは…記憶がある大地を愛してるからじゃない。」
「じゃあっ…―――」
「大切だからだよ。」
「え…?」
「あたしにとって、大地との記憶はすごく楽しいものばかり。
けどね?記憶なんて1人で持っててもつまらないものなの。
平たく言えば分かち合いたいの、記憶を。大切な大切なこの記憶を。
あとは記憶を忘れたままにしてるのは勿体ないから。あたしの部分だけしか忘れてないなら、また記憶を作っていけば良い。だけど、忘れたままじゃ、いつかきっと歪みが生じる。」
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