いちばん
どういう手口であたしから海斗をとったかは海斗から全部、聞いた。


那奈は、まず彼に抱き付いて、ずっと好きだったと告白。

海斗はあたしに悪いと思い、もう那奈とは会わないと決意。

那奈はそれを聞き自殺未遂をする。海斗が離れるなら自分は死ぬ…と言って。

海斗はどうしようもなく、那奈のもとへ戻る。

海斗の、那奈と二人でいる時間はどんどん長くなって行った。

あたしは耐え切れなくなった。那奈に海斗をとられそうで怖かった。あたしから離れて行きそうで怖かった。
その気持ちを海斗に打ち明ければ、海斗はいつもこう言った。


「大丈夫。怖くないよ。愛だけが好きだから。」


でも結局、あたしが怖いと思うことによって、事態は悪化した。

そのことによって彼はあたしから離れて行ってしまった。

深いところははっきり言って、わからない。

あたしは2週間抵抗し続けたが、結局、別れてしまった。

海斗は別れたその日に、こう言った。


「明日も7時半でいい?迎えに行くの。」


あたしは自分の耳を疑った。
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