いちばん

別れたんじゃなかったっけ？



でも、ただ海斗が好きで、好きで仕方ないあたしは、その日も海斗の自転車の後部座席に座った。

そして、駐輪場でこっそりキスをした。

それまで１年半、恋人同士として過ごして来た毎日となんら変わりのない生活。あたしが海斗を電話で起こして、朝からおはようメールが来て、学校まで送ってもらう。昼休みには学校を抜け出し、海斗の学校とあたしの学校の真ん中にある小さな公園のベンチでお弁当を食べる。放課後には街を探検して、お気に入りのお店をひとつずつ増やしていく。彼が予備校の間は、あたしはバイトをした。そして帰りは一緒に遠回りして帰った。帰り際にはキスをして、夜には電話した。

本当に何も変わらなかった。





あたしが海斗の彼女じゃないことと海斗があたしの彼氏じゃないこと以外は。