オレンジ色の校舎
「う…嘘つかないで。風邪…」
「だーから、風邪じゃないって!変な思い込みはよせよー」
ケラケラ笑う瀬川くんに疑いの目を向けてしまうあたし。
「ま、とりあえず風邪薬もらっとくよっ」
「へっ?」
「健真が風邪気味らしいから」
ひょいっと、あたしの手の中にあった風邪薬が一瞬にして取られてしまった。
「じゃ、今日もよろしく!」
駆けていった瀬川くん。同じ教室だけどあたし達は一緒に教室に行かない。きっと、あたしと一緒に居たくないからかな?
「……瀬川くんの嘘つき」
たっちーはいつも通りだったよ。いつも通りじゃなかったのは瀬川くんなんだよ。
キャプテンで部活でも大変だから瀬川くんは丈夫でいなきゃ。…って、あたしが瀬川くんに風邪ひかせちゃったんだけどね。
鞄にそっとオレンジジュースを入れて、教室に向かったあたしだった。