オレンジ色の校舎





視界には、黒板に『残りの時間は自習』と達筆な字を書く須田ちゃんの姿。



「この雰囲気じゃ授業にならないから各自自習すること。あたしはちょっと別な仕事するから、お前ら動物園みたいになるなよ!」



そう言って、不器用にウィンクをして教室を後にした須田ちゃん。教室は一瞬シン…となったが、



「いい歳してウィンクかよ」



と、隣の席の一馬くんがボソッと呟いたその瞬間、



「浅井、お前ちょっと来い!」



バン!とドアを開けると同時に、角が生えた須田ちゃんの姿が見えた。



「……地獄耳かよ」



「あぁ?何か言ったか、あーさーい?」



「ほら、遥呼んでるぞ」



「あ…あたし…違…!?」



「あほっ!あ・さ・い・か・ず・ま、お前だ!」



気だるそうに席を立つ一馬くん。そして、須田ちゃんの元へ行こうとしたが…



「後で恋バナ聞かせてな」



超素早くあたしの耳元で呟いたのだった。






< 130 / 574 >

この作品をシェア

pagetop