オレンジ色の校舎
「遥、ある意味尊敬するよ」
「あ…ありがとう?」
シャーペンで字を書くペースが落ちていく。あ、間違えちゃった。慌てて消しゴムを手にする。
「まぁ、それに気づかない朱希もすごいな」
「うん…でもそれでいいよ。また同じことになるのは…」
「ちょっと待って。“また”って何?」
……しまった。ついあの頃を思い出して、口が動いていた。
「それ、どういうこと?何かあったのか?」
「……その…」
瀬川くんと付き合ってた…これって言っていいのかな?だけど、また瀬川くんを傷つけないか…
「おい、カズー!」
タイミングが良いのか、一馬くんは呼ばれた。しかもその主は…瀬川くんだった。