オレンジ色の校舎
「じゃ、俺朱希の席に座ってるからここ座れよ」
「お、おう」
ちょっと戸惑っている瀬川くん。ほら…やっぱり迷惑じゃん。なんでこんなことすんのよ、と一馬くんを睨んだ。
『チャンス到来じゃん』
と目配せをして去った一馬くん。な、な、何がチャンスよぉ!
「……なんか…ごめんな」
「え?」
「カズとの会話…邪魔して」
「じゃ…邪魔なんかじゃないから!むむむむしろ助かったというか…」
イキナリ謝られてビックリした。だけどあたしは助かったんだよ。
「あ、やっぱり何かあった?」
「な…何が?」
「浅井が…ちょっと困っているように見えたから」
瀬川くんとのことを聞かれていた時、困っていたのを見抜かれていたんだ。
そんなところに気づいてくれるなんて、やっぱり優しいなぁ。