オレンジ色の校舎
「だから遥も、見てるだけじゃなくて努力しろよな」
「う…うん」
「簡単に橋本に取られたら悔しいだろ?」
「な…なんで楓ちゃんの気持ちまで知ってるの!?」
「トイレに行く途中、たまたま2人の話を聞いただけ」
たまたまって…一馬くん、タイミング良すぎでしょ。
「まぁ、橋本に勝てるように頑張って」
「一馬くんも好きな人に気持ちを伝えられるように頑張ってっ」
「…俺はもう影の存在でいい」
「あたしには努力しろとか言ったくせにーっ」
「お前は中学ん時からそんな感じだったんだろ?だからフォローしてやってんだ、バカ」
一馬くんは一馬くんなりに努力をしてきた。だけどあたしはまだ…まだやりきっていない。
楓ちゃんがライバルだと知って、胸騒ぎがする。だけどこれも何かの始まりなのかもしれない。
オレンジで埋め尽くされた空を見上げながらそう思った。