オレンジ色の校舎





あたしは一つ深呼吸をして、昨日の楓ちゃんのことを話した。



「……ふーん。いつかそんな日が来るとは思ってたけど…」



「麻衣、気づいてたの?」



「それとなーく、ね。だけど…」



「だけど?」



「あのコ、結構瀬川くんと仲良いよ。瀬川くんは無自覚だけど」



楓ちゃんはバスケ部で瀬川くんはバレー部。そりゃ、同じ体育館競技だし仲良くもなっちゃうよね。



「それに、あんたなら嫌いになれないタイプ…でしょ?」



麻衣はあたしの心の中をわかっていた。そう、あたしは楓ちゃんみたいなコは…嫌いになれない。



ライバル宣言して、それでライバル視していじめ…とかそういうパターンならいい。



だけど普通に素直で優しくて、だから…ライバルだと…嫌いになれない。






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