オレンジ色の校舎





「好きな奴ばかり見るのは別に構わないが、しっかり進路とも向き合うんだぞ」



「はい。……ってえぇっ!?」



あたしは頷きかけた頭を思いっきり上げた。す…好きな奴!?



「浅井、お前って浅井のことが好きなんだろ?」



「浅井?……一馬くんですか?」



「何、違うのか?」



「そ、それは誤解ですっ。とにかく進路は考えますので、これで失…」



「あ、ちょっと待て浅井っ」



須田ちゃんは短い髪を触りながら立ち上がり、書類が山積みになっている棚へ向かった。



「これ、K大の資料と他に養護教諭へ近づける学校の資料だ。一応調べてみたんだけど…また何かあったら早めに相談しな!」



須田ちゃんはこんなに言葉遣いが荒くて男みたいな女教師だけど、生徒のことはきちんと考えてくれる先生だ。






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